テレビCMを国民参加のお祭り化する「LiVE CM」の効果とは

定額制動画配信サービスにはじまり、分散型メディア、ライブコマースなど、新しい形の動画メディアが盛り上がりを見せている。そんな中、「テレビ」が提供できる価値はなんだろうか。8月24日(木)に渋谷で開催された「TECH PLAY CONFERENCE 2017」でHAROiDの吉澤健吾(よしざわ けんご)が語った。

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渋谷公園前通りにあるイベントスペース「TECH PLAY」

■テレビの得意なところ、ネットの得意なところ

まず「動画ビジネス」のこれまでを少し振り返ってみましょう。これまでの動画ビジネスは、放送波を使って全国の人々に一斉に映像を届けることができる「テレビ」の独断場でした。テレビビジネスは、企業のCM映像を視聴者に届ける「広告モデル」が今もなお主力です。

そして、インターネットやスマートフォンが出てきたことで、状況が一変します。視聴者にすれば、時間や場所にしばられることなく映像を楽しめるようになりました。広告主からすれば、タイムリーにクリエイティブやメッセージを変えることもできますし、セグメントされたターゲットに低コストでのリーチもできるようになりました。

それらは裏を返せばテレビが苦手としている領域です。テレビは、多くの人々に一斉にリーチすることを得意としていますが、広告主からすれば、コストは高いし、使える時間も決まっていて、放送法上の制約もある「敷居の高い」メディアでもあります。

私たちHAROiDは、インターネットとテレビの得意なところを掛け合わせて、新しい価値を創出していくことを事業の中心に置いております。
 
「テレビとネットの掛け合わせ」と聞いて、みなさんは何を思い浮かべるでしょうか。おそらく、天空の城ラピュタの「バルス」ではないでしょうか。テレビで放送される作品のワンシーンに合わせて、1秒あたり約14万3千もの同じセリフがツイートされます。
 
ここでHAROiD代表の安藤がある実験をご紹介します。もし、ラピュタをタイムシフト視聴しながらバルスとツイートしたらどうなるか。当然ながら誰も反応しません。全然面白くないです。これはテレビやるからこそ意味のあるものだと言うことが証明できました(笑)。

しかし、ここの解釈を広げていくと、テレビは「誰かと一緒に楽しむことができるエンターテインメント」であるということが言えるのではないでしょうか。街頭テレビをみんなで一緒に見ていた時代の延長なのかもしれません。テレビは「同時に多くの人を集める」という点に関しては、インターネットよりもテレビの方が優れていると考えます。

■全国の視聴者が一斉に参加するお祭り「LiVE CM」

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HAROiDビジネス開発マネージャー 吉澤健吾

HAROiDは、このテレビの特性を拡張する取り組みを放送局様と協働で行っています。その一つが、全国の視聴者一斉参加型のテレビCM「LiVE CM」です。

60秒の放送時間で、視聴者がスマートフォンを使ってテレビCMに参加できる仕組みを実現しました。視聴者がスマートフォンをタップしたり、スワイプしたりすることでテレビCMの映像がリアルタイムで変化します。キリンビール様をクライアントに、現在(2017年8月24日時点)までに合計7回の放送をおこないました。
 
「LiVE CM」の大まかな構成は次のようになっています。
 
まず、CMがはじまってからの約30秒で企画の説明。視聴者に検索でWeb上のキャンペーンサイトへのアクセスを促します。当然、キャンペーンサイトにはSEOやSEMを施しております。次の20秒でキャンペーンサイトがCM参加用のページに切り替わり、参加者のアクションに応じてテレビCMの映像がリアルタイムに変化していきます。その様子はまさしく「お祭り」。2週連続のLiVE CM放送で合計600万タップを達成した実績もございます。最後の10秒で結果の表示や次のキャンペーンの告知を行います。
 
より多くの人が参加できるように、アプリではなくWebブラウザでできる表現の限界に挑んでおります。

キリンビール様の場合、「LiVE CM」の参加者には、コンビニで商品1本を無料で引き換えることができるクーポンを「先着」でプレゼントいたしました。また、CM参加に間に合わなかった方のために「SNSシェア」でもクーポンがもらえるよう仕立てました。こうした様々な施策が実を結んで、Yahoo!Japanのデイリー急上昇ワードのトップ10入りを連続で達成しています。

■「O2O2O」は視聴者の「行動」を瞬時に生み出す仕組み

HAROiDでは、「LiVE CM」のようにテレビとネットをつなげるだけでなく、コンビニで引き換えができるクーポンをプレゼントする仕組みなど、テレビとネットと現実世界の店舗をリアルタイムにつなぐ仕組みを構築しました。それが、「O2O2O」(Onair to Online to Offline)です。

「O2O2O」は広告主様にとって、どのようなベネフィットがあるのでしょうか。
 
15秒や30秒のテレビCMで商品やキャンペーンへの興味を喚起できたとします。 しかし、次のCM映像が始まってしまうと、視聴者が感じていたこと、思っていたことが上書きされてしまいます。 テレビCMの放送時間中は訴求力が高い映像が連続で放送されてしまいますので、視聴者の興味を喚起できたとしても、それが持続しません。
 
その瞬間の感情・気持ちを忘れないうち、すぐにアクション移行させるリアルタイムマーケティングの手段として「O2O2O」が活用できます。具体的には、新しい商品・新しいフレーバを一度体験していただくための商品体験機会の創出や、コンビニ等での店頭配下率の向上を狙うこともできます。

■「テレビのイベント化」で生まれる新しい情緒的価値

ただのコンビニのサンプリングであれば、これまでも様々な施策ありました。HAROiDの「O2O2O」は「LiVE CM」と組み合わせることで、「商品がタダでもらえて嬉しい」という機能的なベネフィットを残しつつ、全国一斉に、60秒で、今しか参加できない「お祭り」を視聴者に提供することで、情緒的なベネフィットも提供します。

やってみた動画や、あえてツッコミの余地を残した構成など、優れたWEB動画をセントラルに置きつつ、そのトリガーとしてのテレビを使うという方法ももちろんありますが、テレビそのものを「イベント化」していくという方向性もアリのではないでしょうか。
LiVE CMを実施した日のツイートを見てみると、商品の画像をアップして感謝さえしてくれているユーザーが見受けられます。これは商品を無料でもらえたことへの感謝だけではなく、楽しいイベント体験を提供してくれたことに対するブランドへの感謝も含まれていると私たちは認識しています。

■「視聴者をユーザーに。」HAROiDの展望

「視聴者をユーザーに。」これは私たちが掲げるコンセプトの一つです。視聴者というのは、テレビが大量に集めることのできる人たち。しかし、その人たちはアノニマスで、一人一人がどんな人たちなのかよくわかりません。
 
HAROiDは昨年の11月に、放送局向けのプライベートDMPの提供を開始しました。私たちはデータ放送とインターネットを組み合わせて「テレビにログインする機能」を既に実現しています。対象ユーザーがどういう番組やCMを視聴しているか。テレビログインで取得できるデータとスマートフォンで取得できるアクセスログを統合して、視聴者の実像を明らかにし、視聴者をユーザーにすることで、一人一人に最適な情報や体験を提供します。

テレビや放送自体がプログラマティックになっていく時代はそう遠くはないでしょう。私たちは「LiVE CM」や「O2O2O」のように、インターネットの良いところを取り入れて、ユーザー1人1人に最適なサービスの提供を「放送」を起点に実現していこうと考えています。

HAROiDへのお仕事のご相談はこちら: info@haroid.com